【報告】篆刻を語る

桑原連吉

ショートスピーチで篆刻について語る

篆刻とは落款などに用いる印章を彫ることであり、印に 刻す文字に主として篆書が使われるため篆刻と呼ばれる

文墨趣味のうちでも篆刻は最高に位置するものといわれてきた。それはその内容に含む多様な歴史的重要性と高度な趣味性、ひいては芸術的創造性から成り立っているからであろう。

篆刻は個性的・創造的な内容を持ち、その特性がよけいに光る。ハンコとの違いは同質であるかもしれないが、異味であるとみればよい。

篆刻作りは押す目的のハンコ的なものから始まって、究極な人生の喜怒哀楽を刻むという心の芸術にまで昇華せしめるのである。

印の歴史は大雑把に分けると、官印と私印の二つである。官印は無性格さを備えており、原点は秦・漢時代。私印こそが極めて興味深いところである。

日本では奈良時代に大宝令(701年)によって印刷が始まり、中国の随漢の制に倣った篆書体らしきものが使用されていたが、平安時代に和様風の「大和古印」「倭古印」と呼ばれる我が国独特の印が用いられた。平安後期には官印の制度が衰え鎌倉時代には入宋した禅僧による私印の使用が普及し、室町時代には書画の落款が我が国に入り、江戸時代中期に文人間で試みられた。明治以降、中国との交流が盛んになり、多くの名手逸材が輩出し、篆刻芸術が大きく開花した。 

篆刻作品は書家の落款として利用されることが多いが、押捺した印影自体が独立した作品であり鑑賞の対象となる。印影を多数集めた作品集を印譜という。

 漢字:①甲骨文字 ②金文 ➂大篆 ④小篆 ⑤隷書 ⑥楷書 ⑦行書  ⑧章草 ⑨草書

篆刻には、「朱文」・「白文」・「朱白相関」があります。

「朱文」(陽刻)は、文字を残し、それ以外を彫ります。実用印のほとんどが朱文です。

「白文」(陰刻)は、文字部分を彫ります。押したときに朱の面が大きいので目立ちます。

「篆刻年賀状」を彫る

夏から秋にかけて、何を彫るかを考える。「四字熟語の辞典」を見たり場合により浜松市立図書館に行ったりして、自分の今の気持ちに相応しいものを見つける。それと同時に彫る石も決める。新品ならいいが使用済みの石の場合にはガラス板の上にサンドペーパーで擦り古い文字を消す。サンドペーパーは粗いものから中程度と最後に肌理の細かいもので平らに仕上げる。

目的の文字をノートに書き、「篆刻字林」で探して篆書に置き換え、それを鏡に写して逆字をつくる。(白文は)石の印面を朱で塗って墨で彫る文字を入れる。朱と墨とで丁寧に下地をつくる。これが出来上がれば半分の完成。石印材を印床(篆刻台)に挟み、印刀を持って、いよいよ彫りにかかり仕上げる。

・お年玉付き年賀状の発売を待って購入する。

・まずは、表面左下に自分の住所・電話・メールアドレス・名前を印刷する。(1回目印刷)

・裏面に、バック背景もしくは枠を印刷する。(2回目印刷)

・年賀とか謹賀新年などを入れ、(篆刻を押す空白を残して、)下の方にその説明文を書いて印刷する。(3回目印刷)

・いよいよ、篆刻を押す。(朱肉にするか金肉にするか??・・高価な金肉があるので)

・篆刻の印面に肉をたたき、年賀状に定規をあてて押す、くるくる回し、ひっくり返して印面を上にし、バレンでこすり、その後離す。乾かすために並べる。1回に10枚か20枚ぐらい。1日たったら習字紙の間に1枚ずつ挟み上に重しをする。(べたつかなくなるようにする)

・相手先の住所・氏名を必ず自筆で書き上げる。(約100枚ぐらいを)

・できれば1225日までに西郵便局に持ち込む予定で。

桑原さんの篆刻の道具と作品

過去の実績

・平成19年正月「瑞祥新春」「風林火山」 
・平成20年正月「子年吉兆」
・平成21年正月「福多連吉」       
・平成22年正月「長楽」
・平成23年正月「平為福」        
・平成24年正月「居易」
・平成25年正月「未知生 焉知死」 
・平成26年正月「一笑一若 一怒一老」
・平成27年正月「玄同」         
・平成28年正月「賞花釣魚」
・平成29年正月「巣林一枝」       
・平成30年正月「烏飛兎走」
・平成31年正月「年年歳歳」       
・令和2年正月「行雲流水」

「篆刻年賀状」過去の実績の詳細

・瑞祥新春、風林火山・・・ずいしょうしんしゅん、ふうりんかざん
・子年吉兆・・・ねどしきっちょう
・福多連吉・・・福おおく吉つらなる
・長楽・・・ちょうらく(出典:韓非子、功名)
      長く楽しむこと、いつも楽しいこと。
・平為福・・・へいは福となる(出典:荘子)
      何もない普通のときこそ、幸せである。
・居易・・・きょい(出典:礼記らいき、中庸)
      安らかな状態にいる。(君子は安らかなところにいて天命に従う、小人は険しい行動によって偶然の幸せを得ようとする。
・未知生、焉知死・・・未だ生を知らず、いずくんぞ死をしらん(出典:論語、先進)
      まだ生というものもわかっていないのに、どうして死ということがわかろうか、いま考えるべきことは直面している生にある。
・一笑一若、一怒一老・・・いっしょういち若、いちどいち老い(中国のことわざ)
       笑う門には福来る、怒ればふける。
・玄同・・・げんどう(出典:老子、五十六)
       人と同化すること。(彼我ひがの別なく、すべてを超越した玄妙な境地、差別観を持たないこと。
・賞花釣魚・・・しょうかちょうぎょ

        外に行き、美しい花を観たり、魚釣りをしたりして愉しむ。
・巣林一枝・・・そうりんいっし(出典:荘子)
        鳥は深い林の中に巣を作っても、たった一本の枝を使うにすぎない。分相応のもので納得すること。
・烏飛兎走・・・うひとそう(出典:荘南傑、傷歌行)
        歳月のたつのが、あわただしく速いこと。烏・兎は太陽と月を指し、転じて歳月・月日のたとえとなった。
・年年歳歳・・・ねんねんさいさい(出典:唐詩選)
        年年歳歳、花相似たり、歳歳年年、人同じからず。人に世の変わりやすいこと、人間が年とともに老衰するはかなさに対して、自然の悠久であることをいう。
・行雲流水・・・こううんりゅうすい(出典:荘史、蘇軾そしき)
        空に漂い行く雲や、流れる水のように、さまざまに移り変わること。

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